ポン太一家の冒険

ポン太一家の冒険

発達障害(自閉症)中学男子の母の気持ち   ※無断転載禁止

発達障害の息子と映画『僕と世界の方程式』を見てきました【感想】

私と夫とポン太で映画「僕と世界の方程式」を見てきました。

イギリス人の自閉症の男子高校生が国際数学オリンピックを目指す話です。PG12。

以下ネタバレがあります。

 

あらすじ

こだわりが強くコミュニケーションに問題を抱える主人公ネイサンは母親と二人暮らし。数学教師マーティンの個人指導を受けて天才的な数学の才能を伸ばし、数学オリンピックのイギリス代表の候補者に選ばれる。

イギリス代表を選ぶ台湾合宿で、中国チームの少女チャン・メイと出会う。

初めて親元を離れ、個性的なライバルたちや指導者と生活を共にし、さまざまな経験の中で主人公は大きく成長する。

 

数学に魅せられ一人の世界に生きてきた主人公が恋をして世界を広げていきます。少しずつ心の扉を開き、血の通った関係を築き、トラウマを乗り越える力を獲得する展開は感動します。みずみずしい青春映画です。

また数学という学問の美を描くには、それ自体が美しい芸術でなくては伝わらないのでしょう。映像も音楽も美しくうっとりします。

ドキュメンタリー出身の監督らしく、いい話だけれどきれいごとだけでは終わらないリアリティのさじ加減も絶妙です。

ぜひたくさんの人に観てもらって、ネイサンのような人たちを身近に感じてほしいと思いました。

 

…とさらっと書きましたが、実は最初から目をうるうるさせて観ました。うちにも同じ年頃の自閉症の息子がいるので、まったく客観的にみられなかったのです。完全にネイサンの母親目線です。

ポン太には特別な才能はないけれど、科学と数学が大好きです。ネイサンと同じように「お母さんはバカだからわからないでしょ」と母親を見下します。

(ただ私はネイサンの母親のようなできた人間ではないので「バカではなく、ポン太と興味の方向が違うだけ。バカっていう人が大バカで~す!」と言い返します。笑)

 

ポン太は自分の障害を理解しているので、映画を観てもっと多方向から自閉症を考えるヒントになれば…という気持ちでした。

ここからは当事者と家族の、参考にならない偏った感想になります。ネタバレもがっつりです。

 

自閉症だってちゃんとできるのに~ポン太の感想

途中までスクリーンにくぎ付けで、ときどき膝に指で数字を書いていましたが、映画が終わると難しい顔をしていました。

聞くと、おもしろかったけれどラストが納得できないとのことでした。

 

ネットでこの映画の感想を読むと、ラストに感動する人と釈然としない思いを抱く人に二分されるようですか、ポン太は後者です。

「あれじゃ、自閉症の人がパニック起こしてどっかに行った話じゃない? 自閉症はダメだって思われない? 自閉症だってちゃんとできるのに」と気にしていました。

あれはパニックじゃない、ネイサンは数学より彼女を選んだんだよ、と夫は説明していましたが、そこまで読めなかったようです。

 

ずっと閉じ込めていた父親への思いと、彼女との突然の別れに動揺する気持ち、いろんな感情が一度に押し寄せてきたあのシーン。

あれは自閉症らしいパニックというより、強い感情に突き動かされたネイサンがやむなくとった行動ですよね。理解できない異質な行動ではない。映画ではそう描かれていたと思います。しかしたしかに周りからみればパニックです。

ふだんのポン太のパニックも本人にしてみれば必然で、考えた末の行動となんら変わりはないんだろうな…と考えさせられました。

 

またポン太は「試験の前にマーティンが『一問目でパニくってもあせるな、切り替えが大事だ』って教えればよかったんだよ。ネイサンに復唱させたらもっといい」とパニック回避の方法まで考えてました。

日頃の療育の成果とも言えますが、人に助言はできても自分が実行するのは難しいようです。笑

 

それと数学の話が印象に残ったようで「(映画にでてきた)あれは愛の方程式じゃない、グラフだ」とぶつぶつ言ってました。

こう書くと不満だらけのようですが、ポン太はふだん、大人がみるテレビドラマにまったく興味がありません。それなのにその日は家に帰ってからも映画の感想をずっと口にしていました。TSUTAYAに置いてたらまた見たい?と聞くと見たい!と即答。

何にでも文句をつけたいのはポン太の特性でもあります。彼なりに考えるところが多かったみたいなので、連れて行ってよかったと思ってます。

 

ルークを救ってあげて

映画にはもう一人、自閉症の高校生が登場します。

内向的で無口なネイサンと対照的に、場にそぐわない内容の話を雄弁に語るルーク。たぶんネイサンは自閉症の孤立型で、ルークは積極奇異型です。

自説にこだわって授業の進行を止めたり、差別的な発言をしたり人を見下したりして、周囲を不快な気分にさせます。ポン太とそっくりです。

しかしこの人たちは心から他者を求めており、仲間になりたくて見当はずれの行動を繰り返し、ますます嫌われるのです。悲しすぎます。ネイサンと違い、ルークは救われないまま映画は終わります。

ルークとポン太の幸せはどこにあるんでしょうか。でてこなかったけれど、ルークの両親といっしょに泣きたいです。(非常に個人的な思い)

ポン太もせめてネイサンみたいに孤立型でイケメンならモテてたのかな…と後で夫と話しました。もちろん冗談ですが。

 

母だから思うこと

最後に。ラスト15分のチャン・メイに腹を立てたのは私がポン太の母だからでしょうか。ネイサンを好きになってくれてありがとう、恋を教えてくれてありがとう、という母親目線の感謝の気持ちがどこかに行ってしまいました。

気難しいネイサンが無事にイベントを乗り越えられるように、母親はいつも以上に神経をすり減らしてきたはず。それなのに。

チャン・メイ、大事な日の直前に何してるんですか、あなたは。けじめがなさすぎませんか。試験が終わるまで待てませんか。

 

ほかの人から見たら『過保護な母親のエゴ』の一言で片付く感情だけれど、映画に入り込んでいたのでそう思いました。(映画の本筋とは別の、個人的な思いです)

この映画のラストについて、障害児の母親同士で語り合ったらぜったい楽しい。

 

以上、我が家の感想でした。

繰り返しますが、いい映画です。観る人を選びませんし、発達障害に関係のある人ならいっそう引き込まれて最後まで目が離せません。おすすめです。

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